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五感で感じるお茶の世界
茶臼の空間

  • 私とお茶との出会いは小学校4年生の家庭科の授業で習ったお茶の淹れ方でした。先生に「帰宅してから復習してください」と言われ、帰宅後早速 自宅にあった茶缶を開けた時に感じた あの青い甘い香りに取りつかれ何度も香りを嗅いでいたことを覚えています。やがてお茶メーカーで働くようになってからもいろいろなお茶を購入し、お茶を使用したお菓子を食べ お茶に夢中になっていました。私が成長した時代は多くの清涼飲料水やインスタント食品が次々登場し コンビニエンスストアがいたるところにあり、いつでもいろいろなものを購入することができた時代です。便利な反面、暴飲暴食、栄養も偏りがちになることもありました。そのような生活の中で、私を広く包み込むように守ってくれたのが「お茶を飲む習慣」だったと思っています。お茶のすばらしさを話せば延々と長引きますのでこの辺にしておきますが、私はこの素晴らしいお茶を世界中に広めたいと思い 細々と活動しております。皆さまが少しでも ご興味を持っていただけたらこれからも引き続き「茶臼の空間」をよろしくお願いいたします。

私たちが愛する茶畑

鹿児島県霧島山麓は、冷涼な気候で、朝夕の大きな寒暖差や霧島山系から湧き出る清らかな水、豊かな土、澄んだ空気など、天然の環境に恵まれた茶栽培に適した産地です。

鹿児島県霧島市の茶園の特徴

湧き水と溜池
霧島山系から流れ出る水は地下水として湧き出てきます。日本名水百選のひとつである湧き水町の湧き水をくみ上げ溜池を作り管理して使用しています。
昼夜の寒暖差
霧島山麓に位置するこの茶畑は昼夜の寒暖差が大きくなります。
お昼間の温かい気候により栄養分が供給された茶葉は涼しい夜のおかげで 呼吸も穏やかになりしっかりと栄養分を保存することができます。
堆肥を5年間発酵
大切な土作りは、堆肥を5年間かけて熟練の技術で発酵させます。100%天然の土により茶を栽培しています。
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仕上げは私たちの こだわる茶臼で碾茶を挽きます。
 ここでは茶臼についてお話をさせていただきます。

    茶臼概要

西暦800年前後に中国で作られた抹茶臼は その後日本に届き改善されながら今日の茶臼になっています。とは言え最近は茶臼を見かけることがなくなりました。昔は抹茶を購入するためには、まず抹茶の原料となる『碾茶』を購入したのち、別に料金を支払い碾茶を挽き抹茶にしてもらっていたのです。茶臼はとても高価なため各家庭にはもちろんのこと お茶屋さんにすらないこともありました。それゆえに当時は『挽き屋」という商いのようなところがあり、そこに碾茶を持参し挽いていただいていたのです。

言うまでもなく、電力がとおるまで 茶臼挽は手動です。しかも主に女性のお仕事でした。

このページでは 茶臼について さらに詳しくお話をしたいと思います。ぜひご覧ください(^^)/


石臼の起源は古代エジプト時代にサドルカーンと呼ばれる道具を使用していたのが 始まりと言われています。その後西ヨーロッパから東へ広まり回転式の臼が登場したのは紀元前800年ごろだそうです。石器時代から人と道具としての石は関わりあいが長く続いています。このコーナーでは このような石からつくられた抹茶臼について詳しくご案内いたします。

茶臼の構造

茶臼の分解画像
茶臼を分解すると上の部分(上臼)、
下の部分(下臼)に分かれます。

茶臼に使用される石は主に花崗岩、輝緑岩、牛岩石などがあります。木でできた挽き木は樫の木で作られているのが多いです。大きな石の塊を円形にくりぬく作業は機械で行いますが それ以外のほとんどの加工は技術者の手作業で仕上げます。


石と石をすり合わせて食料を加工する技術は人類が大昔から取り組んできた方法ですね。

茶臼を挽くときに聞かれるのが 
「どちらの方向に回転させるのですか?」
です。

答えは 時計と反対の方向に回すのです。



下臼 芯木
下臼の画像です。溝が切られていて8個の枠に分かれているのがわかりますでしょうか!この枠は地域により様々です。作業工程は 上から注いだ碾茶は上臼の回転に合わせて芯木に沿いながら下に落ちていきます。落下する際、上臼の穴と芯木のすき間を碾茶が通りながら碾茶を剝がすように細かくなっていきます。
芯木と上臼のすき間を確保する微妙な技術が出来上がりの抹茶の質を大きく左右します。製作者の腕の見せ所です。なお芯木は摩擦により消耗しますので経年劣化とともに交換します。
この茶臼の下臼のサイズは直径38センチ、重量約15kgです。

臼のサイズはおおよそ決まっています。
現在 多くの茶工場で使用されている電動で動かす茶臼は ほとんどが直径 尺一寸といわれる33センチで、重量が25kgほどです。時折 45センチの茶臼もあります。
茶臼が小さく軽いと出来上がりの抹茶の粒子は荒くなり点てにくくのど越しが悪い抹茶になり、逆に茶臼が大きすぎると出来上がりの抹茶の粒子は細かくなりすぎ 色が白くなり、ダマになりやすい抹茶になります。

下臼 溝と外周淵
溝は1マスあたり13本から14本あります。この溝は
1,落下してきた碾茶を臼の外側へ送り出す役割
2,こもる熱を逃がすベンチレーション的役割
3,碾茶を剥がすように細かくする役割を担います。

外周の淵をご覧いただきますと溝が淵の端までないことにお気付きでしょうか! この理由は 溝をなくすことにより最後の端の部分で 碾茶をより一層細かくするためです。粒子を程よく細かい抹茶は点てやすく飲むときののど越しもよいのです。

中国から茶臼が伝搬した平安時代や鎌倉時代のころは、この溝は茶臼の端まであったそうですが1400年台からの茶道の発展とともに溝を端まで切ることがなくなりました。

参考までに 抹茶臼以外の臼(そば用、麦用等)は溝を端まで切ってあります。

この部分の加工技術にも製作者の方の技が光ります。




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上臼
上臼です。下臼と同じく8マスになっています。中心部分の穴に下臼の芯木がはまり 茶臼を安定して回転させながら碾茶を挽きます。

上臼の大きな特徴は中心にある穴から外に向かい数センチほどの部分がくぼんでいます。上から落下しながら挽き落ちてきた碾茶はまず この「ふくみ」と呼ばれるくぼみの部分にたまります。

また経年劣化とともに茶臼の石は摩耗します。石の調整は主にこの上臼部分を 技術者の方が調整しています。
挽き出る抹茶
これまで見てきたように 茶臼上部から淹れた碾茶はやがてこの上臼と下臼のすき間から挽き出されます。

挽きだされる速度は臼や外気温、湿度などにより同じ臼でも違いが生じます。

私の手挽き臼では 10分間回して約2gほどの生産量です。
一般的茶工場にある電動で動かす直径33センチの茶臼でも
1時間当たり40gほどだそうです。

抹茶が貴重かつ高価である理由の一つです。

挽き木
茶臼を回すときに手にもつ「挽き木」です。
外側を他竹筒でカバーし、内側の木は 主に樫の木を使用しています。

茶臼に差し込んで使うので 臼を削る穴のサイズに挽き木の差し込み部分のサイズを合わせる必要があります。
この部分の政策も茶臼を作る際に技術者の方に制作いただいています。

外側の竹の部分は今日ではホームセンターで細い竹を購入しきることにより代替えは可能です。

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挽き終えた後の茶臼内部
挽きはじめは碾茶を挽いて上下臼を重ねます
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私の茶臼を制作いただいた
伝統工芸士 大島様です。

現在 茶臼を生産されている地域は非常に少なくなっています。

私の使用する茶臼は 愛知県岡崎市で石材店を営まれ「伝統工芸士」の認定を受けている『大島石材店』の大島正彦さんの手により制作していただきました。

岡崎市では 茶臼に適した ‘牛岩石‘と呼ばれる石が採掘されます。硬すぎず柔らかすぎない石です。
常に回転し上下の石をすり合わせる作業が続く '臼‘にとって硬すぎる石は摩耗が激しく頻繁に目立てを必要としてしまいます。
逆に柔らかすぎる石だと、思うように細かい粒子に挽くことが困難になります。程よい硬さの石が採掘される場所は限られてくるわけです。

大島さんは お庭の石碑や灯篭、お墓の石碑などを制作されていたのですが、石材の中でも高度な技術を要する茶臼制作に挑戦したいと思い、奮起し挑戦したのが 大島さんにとっての茶臼作りの始まりだと伺いました。

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茶臼の構造

手挽き用茶臼の構造をご覧ください

手挽き茶臼で挽く抹茶

臼から挽かれる抹茶や挽き終えた後の内部をご覧いただきます。

茶臼のお掃除方法

使用後の茶臼のメンテナンスを開設いたします。

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屋号 茶臼の空間   秋山哲也

茶歴 日本茶インストラクター
   ハーブコーディネーター
   ティーアドバイザー
activity―:アマゾンkindleにて出版
     「緑茶生活のはじまり」
      CHA遊学パーク観光ガイド
      youtube  茶臼の空間
      Instagram aki_teacha
〒630-8131
奈良県奈良市大森町64